過去③
結婚してすぐは、
旦那さんより早く帰って帰りを待つ妻こそ素晴らしいと思い込んでいた。
旦那さんは、仕事でのみ遅くなりましてや新婚ともなれば早く帰りたいのに帰れないのだと思っていた。
そして、そんな遅い旦那は嫁に気を使って休日はデートや家事を手伝って、相手に愛情を伝えるものなのだと思い込んだ。
自分は働きながら家事をして、大変だけど旦那さんが喜ぶんだと信じていた。
しかし、現実は生活が違う二人はどちらの家のやり方に合わすのかをまた競い合った。
大抵、今思い返せばどちらでも節約だの効率的だの考えたって大差なく、あとは自分の家のやり方を馬鹿にされた感じがしたなどの感情でのやりとりである。
でも、自分の親や家庭を馬鹿にされた気がすればやはり怒るし、ムキになる。
そこでまたしても喧嘩。
行く末は旦那が仕事から帰り、ご飯を食べると外出して朝まで帰らないことが増えてきた。
休みに入れば、金曜の夜見かけたあとは月曜の朝まで帰らない。
朝帰ってきて着替えて出勤するのだ。
この暮らしは私の根底を大きく変えた。
ここまでコケにされて、黙ってられるかとばかりに喧嘩しても出て行く相手を食い止めることなんてできない。ましてや、より家に寄り付かなくなる。
頭によぎる離婚の文字。
でもまだ結婚後間もない。
周りはどう思うだろう。
やっぱり自分は愛されないんだ。
自分の周りにいる人は旦那に捨てられた自分をどう思うのだろう。
でも親元には帰れない、親の悲しむ顔も旦那に怒る顔も見たくない…でも…
そうまでされて別れない私はなんなんだろう。
他にもっと優しい男の人はいるはずなのに
もっと大人に人はいるはずなのに
もっと甘えさせてくれる人はいるはずなのに
もっと私を愛してくれる人はいるはずなのに
なぜ?
その答えは、
自分が不完全でどうしようもない(ように見える)この人が好きで好きで仕方ないから。
しかなかった。
好きで仕方ない、でもこんなに辛い、きっと世間的にも夫婦としておかしい、私は間違ってないのに。
でも
別れたくない、帰ってきたら嬉しい
もっと話したい、もっと甘えたい
…仕方ない。
じゃぁいいや。
このままのこと人ごと好きになる自分になればいいや。
別れることより数倍そっちの方がいいやって思えた。
そこから旦那になった彼氏の心を自分へ取り戻すチャレンジが始まった。