過去④

毎晩出て行ったあとのがらんとした家に取り残されて

寂しくて寂しくて仕方ない気持ち、惨めな気持ち、否定された気持ちと向き合わざるをえなかった


どんなに泣こうがわめこうが、いない相手には届かない。

強がりも、拗ねも、届かない。

そうなるといる少しの時間やメール、電話を使って


いかに私といたら楽しいと感じさせるか


しかないと思った。


それまでは出て行く旦那の後ろ姿に、
なんで出て行くの?結婚した自覚ある?
社会人としておかしいよね、
何やってるかわかってんの?!などの罵詈雑言しか投げかけなかった。

そのうち会話すらなくなって帰ったらもうすでに出て行ったあとだったり、早めに帰ってきた旦那に露骨に嫌な顔をされ、お前がおらんうちに出て行くつもりやったのに、などと言われ二人の間の空気は張り詰めたものだった。

それにも慣れてくると、今度はお互い目も合わせない。会話もない。ただいるだけ、ただ出ていくだけの人が、一つの家を借りているような状況になった。


その頃に決心をしたのだ。


それから、自分から明日は早く帰って来れそう?などと声をかけ始めた。
最初のうちは小さくも、うん。と返事があったりもしたものの、
そのうち相手は私の軟化した態度に違和感を覚え攻撃してくる。つまり、責められているというマインドのまま、軟化した言葉を聞くと、馬鹿にされてる、嫌味に聞こえる、責めているように聞こえてしまうのである。


そこから感情のリバウンドのような大きな揺れを何度も何度も経験し、その度にここまでやってるのに!!!と思う自分と、やっぱり彼もまだ私を好きなはずという気持ちとを行き来するようになった。

そしてその頃、自分の抑えていたはずの感情も同じように揺り動かされていくのである。